SOKA CREATIVE LAB(草加クリエイティブラボ)

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『SOKA CREATIVE LAB』第4回講義を開催しました!

2020.2.10.

令和2年2月2日、紅藤カナダビルにて、地域の企業課題を、クリエイターとの共創で解決する未来を目指したクリエイターズコミュニティ『SOKA CREATIVE LAB.』の第4回講義を開催しました。
第4回目となる今回の講義は前回に引き続き、田中淳一氏(株式会社POPS)、佐藤哲也氏(ヘルベチカデザイン株式会社)、坂口剛氏(株式会社野村総合研究所)をお招き致しました。
SOKA CREATIVE LAB.はクリエイターとの共創により地域の企業の課題を解決する、未来を目指した草加発のクリエイターズコミュニティです。
半年間かけて講師から得る学びと、そこで生まれるコミュニティで企業とクリエイターが共創することにより人・ビジネス・情報交流が生まれ、市内企業の新しい可能性が広がり、地域全体への発展へとつながります。
まずはじめに、先月1月15日に行われたSOKA CREATIVE MEETINGに登壇いただいた、有限会社セメントプロデュースデザイン金谷 勉(かなやつとむ)さんの講義の振り返りと共有を行いました。


金谷さんは企業の広告デザインや商業施設のビジュアルに携わられたり、近年では、全国各地の町工場や職人との協業プロジェクト「みんなの地域産業協業活動」をなさったりと、日本全国で活躍されているクリエイターです。
今回の講義では金谷さんがこれまで手掛けられたお仕事を振り返った後、これからの時代のクリエイターに求められることとして、3つのことをお話ししてくださいました。
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1.新たな市場へブリッジングのできる、素材と技術の革新を進める人
2.新たな市場へブリッジングのできる、新しい商流を開拓していく人
3.脱却行動ができること
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この3つのトライアングルを繰り返していくことが重要である。
さらに、自分事化して考えること、メーカー視点を持ち、それが本当に必要なのか、課題を解決するのかを考えられることが重要であるとも話されていました。
まさしくクリラボで目指す姿であると考え、最初に事務局側から共有させていただきました。

その後は、それぞれのチームごとにディスカッションを行う時間を設けました。 事務局メンバーもそれぞれのチームに加わり、進捗を確認しコメントをしたり、行き詰まっている部分を一緒に考えたりする時間となりました。

午後は、田中講師から「コンセプトメイキング-定着」をテーマの講義でした。 田中講師がコンセプトメイキングにおいて重要視されている、<着想・企画・定着>の振り返りや、コンセプトとアイディアの違いをお話された後、<脱構築>の考え方をお話ししていただきました。

ここでいう脱構築とは、表現物=アウトプットからコンセプトを遡り、「何故そのような表現物になったのか?」を考えることです。実際に田中講師の手掛けたムービーやグラフィック・ラジオ広告など、いくつかの表現物をまず見て、そこからコンセプトシートや企画書を見せていただきました。 どんな表現物も元を辿ると1枚のコンセプトシートと1枚の企画書から成り立っています。
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① コンセプトを決める
―企画を通して一番伝えたいことがコンセプトになる。
② メディア(ビークル)を決める
―自分たちの企画を何にのせるのかは、コンセプト×ターゲットで決まってくる。
③ 3行で説明できるシノプスにまとめて見せる
―数行でまとめられる面白い企画は良い企画。
長々と説明しないといけないものは結局伝わらない。
④ アイディアシノプスを伝わりやすいようにまとめる
―自分流のやり方で良い。
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コンセプトシートをびっしり埋めても、敢えて余白を残しても良い。
この4つがポイントという貴重なお話をしていただきました。
企画に行き詰まった時こそ、田中講師の教えて下さったアイディアのまとめ方の手順を振り返り、反復していただきたいと思います。

続いては佐藤講師の講義です。
ご自身が立ち上げられたヘルベチカデザイン株式会社のこれまでを振り返る形で、デザインについて考えられていたことをお話ししてくださいました。
震災直後の2011年3月に福島でヘルベチカデザイン株式会社を立ち上げられた後、地域の課題と向き合いながら地域の農産物などの商品のデザインをしてこられました。

当初はトマトやジャムなどのデザイン化されたパッケージが少なかったものの、2015年頃から、独自化の流れの中でデザインすることが当たり前となり横並びの商品が増えていきました。

そして、比較されることが多くなった頃からより一層「デザインとは?」、「デザインの使われ方とは?」「デザインがどこにあるのか?」など、デザインの意味を考えられるようになったそうです。


そのなかで佐藤さんがパッケージをリデザインされたのは、福島県の飯坂温泉発祥の温泉玉子、「ラジウム玉子」です。
(実際にラジウム玉子を試食しながらお話を聞きしました!)
どことなくレトロで可愛らしい文字と色合いのパッケージですが、実はこのパッケージ、デザイン自体はほとんど変えられていません。
約100年前から地元の人に愛されてきたラジウム玉子の歴史を大切にしたいという想いから、元々あったデザインの何が素晴らしいかを佐藤さんご自身が地元の方々に説明され、敢えて「変えないデザイン」を意識されたそうです。
結果、このラジウム玉子は、「元々の良さをデザイナーが整理して、アップデートした点が良い」と評され、2019年度グッドデザイン賞を受賞となりました。
デザインされた商品が増え、デザインすることが当たり前になった今だからこそ、佐藤講師の話は考えさせられるものがあったのではないでしょうか?

最後は坂口講師の進行にて、各グループがアイディアや進捗の発表を行い、それに対してフィードバックを行う時間となりました。


パッケージやデザインを変えて新しいプロダクトを作ろうとするチームに対し、「新発明はできなくても、新役割はできるのではないか?」というコメントや、まだ企画が定まり切っていないチームに対しての「どこを軸で生かしてブラッシュアップしていくか」というコメントは、他のチームにも通ずる内容に感じました。
最後に「アイディアは才能ではなくスキルだ」という言葉とともに、やり方をいくつか知っていることが大切だとして、アイディアの手法や考える時のヒントをお伝えいただきました。
早いもので次回が最終発表です。
受講生の皆さまの元々のスキルがこの講義を受け、より活かされた企画になっていれば幸いです。
ぜひ当日は企業の方に向けて渾身のプレゼンをしていただきたいと思っております。

[運営]株式会社 BarbaraPool(廣部・大森 03-6659-9858)
[主催]草加市 産業振興課(長堀・秋谷 048-922-3477)
[共催]草加商工会議所